借金の時効の確認方法に関するQ&A

文責:所長 弁護士 田中浩登

最終更新日:2024年09月17日

Q借金が時効になっているかどうか、どうすれば確認できますか?

A

 借金が時効になっているかどうかを判断するためには、時効の起算点と時効更新事由の有無(特に債務名義の有無)を確認しなければなりません。

 例えば、消費者金融業者から借り入れがあり(返済期限は毎月末日とします)、令和2年7月31日期限の返済を行った後、返済をストップした場合、消費者金融業者は通常1回でも返済期限に返済を怠ると期限の利益を喪失すると契約で定めていますので、令和2年8月31日期限の返済を怠ったことにより期限の利益を喪失します。

 期限の利益を喪失すると借入金残額について一括で返済しなければならなくなりますので、期限の利益を喪失した時点から借入金残額全部についての消滅時効が進行することになります。

 これが、時効の起算点になります。

 この時効の起算点については、最後の取引日(取引月)が特定できれば、おおよそ特定することが可能です。

 例えば令和2年7月に最後の返済を行ったのであれば、令和2年8月の支払期限の経過により期限の利益を喪失したことが推測できます。

 しかし、最後の取引日(取引月)が特定できない場合は、業者に取引履歴等の資料を提供してもらい、その資料を確認して特定しなければなりません。

 時効更新事由については、特に問題となるのは裁判所の支払督促や判決の有無ですが、これらは債務者に配達されますので、その書類が残っていれば、それを確認することで時効更新事由の有無を確認することができます。

 しかし、廃棄している場合や、受け取っていない場合(ポストに入っていた裁判所からの郵便の不在票を放置したような場合)は、業者から書類のコピーを提供してもらって(支払督促や判決がない場合はその旨の回答をもらって)確認するしかありません。

Qそもそもどこから借りたか分からないのですが、どうすればよいでしょうか?

A

 消費者金融やクレジットカード会社からの借り入れの場合、信用情報機関(CICやJICC)にその情報が登録されますので、まず、ご自身の信用情報を取り寄せてみて、借り入れをした業者が登録されていないかどうか確認してみましょう。

 例えば、信用情報を取り寄せたところ、アコムからの借り入れが登録されていて、延滞になっている場合は、アコムから借り入れをしていたことがわかります。

 ただ、アコムがその債権を債権回収会社に譲渡してしまうと、アコムについての登録は一定期間経過後に削除されますので、削除後は、信用情報を見てもどこから借り入れていたのかわからなくなることになります(削除前であれば、アコムに債権譲渡先を確認することができます)。

 このような場合は、債権を譲り受けた会社からの連絡を待つしかありません。

Q確認の結果時効になっていると分かったら、そのままにしていても大丈夫ですか?

A

 そのままにしていても大丈夫ですが、時効援用手続きをせずに放置すると、以下のようなデメリットまたはリスクがありますので、時効援用手続きを行うことをお勧めします。

 ① 信用情報に事故情報が登録され続けること

 例えばアコムからの借り入れが時効となった後もアコムがその債権を保有し続けている場合、アコムについての情報は信用情報に登録され続けますので、別業者からの借り入れやクレジットカードの作成が困難な状況もその間継続することになります。

 時効援用手続きを行うと、当該業者に関する情報は一定期間経過後に削除されることになります。

② 裁判を提起される可能性があること

 最近は、消滅時効期間が経過しているが、時効援用手続が行われていない借金等について、その返還を求める訴訟や支払督促が裁判所に提起されることが増えています(主に債権回収会社が行っています)。

 このような場合、その訴訟等を放置し判決等が出されて確定してしまうと、時効期間が振出しに戻ってしまうことになります。

 時効援用手続きを行っておけば、このような訴訟等を提起されることはありません。

受付時間

平日 9時~21時、土日祝 9時~18時
夜間・土日祝の相談も対応します
(要予約)

所在地

〒171-0022
東京都豊島区
南池袋2-26-4
南池袋平成ビル6F

0120-41-2403

お問合せ・アクセス・地図

お役立ちリンク

PageTop